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2016/04/01

天国に一番近い村 コート・ダジュール 鷹ノ巣村   私的ランキング

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エズ村の植物園からの眺め


 南フランス・コート・ダジュールには、切り立った崖や岩山の上に作られた通称、「鷹ノ巣村」と呼ばれる小さな村が散在する。
 
 コート・ダジュールといえば、日本人のほとんどがモナコやカンヌ映画祭などの華やかな姿を連想するかもしれないが、私にとってのコート・ダジュールの最たる魅力は、素朴で小さな「鷹ノ巣村」の方にある。

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ロクブリュンヌ村の路地 

 車が海沿いの道から遠く離れ、登って行くと、山や丘の頂に、城壁のような石壁や石造りの塔が現れ、家々が密集するように並んでいる。古来この地は、地中海から侵入してくるサラセン人など外敵の襲撃にさらされてきた。村の人たちは、険しい山中に村を作り、村の周りを城壁のように堅固な石積みで固めて村を守ってきた。

 今も、約百のこうした村が残っているという。村には、迷路のような細い路地や石畳の坂道や石段が連なっている。村の広場の小さな教会の鐘が時を告げる。モナコ近郊のエズと、多くの芸術家とのゆかりのあるサンポール・ド・ヴァンスが代表格として有名だ。

 私の個人的なコート・ダジュールの村ランキング(まだ行っていない村もあるため、これ以上に素敵な村も存在するかもしれないが)を書いておこう。

 こうした村は、せめて一泊して、日暮れや早朝も味わってみるべきなのだ。1位と2位の村は、結局泊まったことのある村である。
 一位に選んだサンポール・ド・ヴァンスは、山の上にありながら、このうえなく、お洒落な場所だ。村を出て、マーグ美術館まで歩けば、現代美術も楽しめる。また、車で10分くらいのヴァンスという村には、アンリ・マチスの晩年の集大成ともいわれるロザリオ礼拝堂もある。ただし、夏の昼間はサンポール・ド・ヴァンスの路地は、観光客であふれ返り、その魅力を感じるのは難しいかもしれない。私は、夏の日暮れの時間帯に路地をうろうろするのが堪らなく好きだ。村にホテルは多くない。

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サン・ポール・ド・ヴァンス村の夕暮れ


 資金力によっても、旅の印象は変わってしまう。私が3位にした村、エズが日本人には、もっとも知られた鷹ノ巣村かもしれない。上質のサービスを求めたい人には、エズの有名な二つのホテルのいずれかに宿泊すると、また違った感想になるのだろう。私は、両方のホテルのレストランで何度か食事はしたものの、エズには、泊ったことがない。

 このエズの植物園からの写真は植物園は入園料が5€程必要だったと記憶しているが、そこまで登らないと、この景色は見ることができない。この写真自体はいつかこうした他人に見せるなど、思いもせず、自分のために撮りためていたものの数枚だ。何度もエズに行っていて気付いたのだが、こういう写真がいつでも撮れるとも限らない。

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エズの植物園からの眺め

 例えば、夏の朝、エズに行ったところ、天気はいいのに、靄がかかって、海がほとんど見えないことがあった。山の大気より海の気温の方が高いと、海から水蒸気が出て、靄になってしまうそうだ。天気がいい日に泊まって、時間の変化とともに変わる村の表情を眺
めてこそ、本当のエズの魅力を感じることができるのだろう。

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エズ村のホテル、シャトー・エザのレストランにて。この日はせっかく眺めのいい場所を用意していただいたにもかかわらず、靄がかかっていた

 天候によって、印象は大きく左右される。サンタニエスは、レストランが二軒しかなく、たまたま行った日は、レストランが閉まっていて、村に一軒しかない食料品店で、買ったものを野外で食べていたら、標高が高い場所は、天気が悪くなることが多いせいか、急に雲に覆われ、雨が降り始めた。ちょうど日も暮れてきて、少し心細い気持ちになった。もし、天気が良ければ、360度の大パノラマが楽しめるはずである。

 あるいは、また出会いによっても旅は左右される。初めてこの村に行ったとき、2位に選んだロクブリュンヌ・カップ・マルタン村で、ほんの少し、村のご婦人方と言葉を交わしたことが、その後何度この村を訪れても、この村のいい印象につながっている気がする。この村には豪華なもの、便利なものはほとんどない。だが、ユーモアにあふれた人たちが生き生きと暮らしているのだ、と。

1、サンポール・ド・ヴァンス

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サンポール・ド・ヴァンスの村

2、ロクブリュンヌ

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ロクブリュンヌ村から海や山肌に張り付くように建てられた家々を見下ろす

3、エズ 標高427メートル

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エズ村の植物園から見下ろす紺碧の地中海と村の家々の屋根


4、ビオット

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ビオットはガラス工芸の町としても知られ、庶民的な感じが残っている。グラースに長く住み、ニースに住むフランス人女性も、お奨めの村。

5、ムージャン
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カンヌから車かバスで約30分の美食で知られる村ムージャン。アンドレ・ヴィレール写真美術館3階の窓からの眺め

6、サンタニェス 標高約800メートル
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マントンから車かバスで約40分。標高が高く、人里離れ、夏でも観光客も少ない


7、カーニュ
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ルノワール美術館の庭からカーニュの町を眺める


8、トウレット・シュルルー

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すみれの村として知られるトウレット・シュルルー



9、グルドン標高760m
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グルドンにあったレストラン

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名前が分からないが、写真を撮っていたコート・ダジュールの鷹ノ巣村

(写真転載を禁じます)
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